わーちゃんの、ぶらり鑑賞さんぽ

週末にぶらり、美術館や展覧会をおさんぽ鑑賞。わーちゃんの鑑賞記をゆるっとお届けします。

【彼女たちのアボリジナル・アート オーストラリ ア現代美術@アーティゾン美術館】へ、ぶらり鑑賞!

先日、アーティゾン美術館で開催していた「彼女たちのアボリジナル・アート オーストラリア現代美術」展に足を運んできました。

展示タイトルに「彼女たち」とあるように、今回は“アボリジナル女性作家”に焦点をあてた内容で、彼女たちの視点から語られる「記憶」「土地」「アイデンティティ」などが強く感じられる展覧会でした。
作品を通して、自分の中にも“見るだけでは終わらない何か”が静かに残るような、そんな体験をした気がします。

 

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「彼女たちのアボリジナル・アート オーストラリア現代美術」は、どんな展覧会?

www.artizon.museum

アボリジナル女性作家の多くは、今日のオーストラリアのアートシーンを牽引し、さらに国際的な現代美術の舞台でも存在感を強めています。
しかし現代アボリジナル・アートが興隆した1970年代から80年代は、女性は作家として認められず、男性が制作の中心でした。
いかにして彼女たちはその立場を逆転し、後のアボリジナル・アートそしてオーストラリア現代美術の方向性を握るようになったのか。
本展は、アボリジナル女性作家に焦点をしぼることで見えてくる、オーストラリア現代美術の現在地を、世代と地域を越えた7名と1組の作家から読み解いていく日本初の展覧会です。

展覧会名:彼女たちのアボリジナル・アート オーストラリア現代美術
会期:2025年6月24日[火]‒9月21日[日]
開館時間:10:00〜18:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(7月21日、8月11日、9月15日は開館)、7月22日、8月12日、9月16日
当日入館料:一般2,000円
※障害者割引等あり
会場:アーティゾン美術館6・5階展示室

 

展示構成

作家さんごとにエリア構成されている形でした

  • ノンギルンガ・マラウィリ
  • ジュディ・ワトソン
  • ジャンビ・デザート・ウィーヴァーズ
  • エミリー・カーマ・イングワリィ
  • イワニ・スケース
  • ジュリー・ゴフ
  • マリィ・クラーク
  • マーディディンキンガーディー・ジュワンダ・サリー・ガボ

印象に残ったTOP3

1:アボリジナルの血の優位性


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こちらはジュディ・ワトソンさんの作品になります。

最初に見た時は血の赤色に少し気が引けました。(実際は血を模したインク)

説明文を見てみると、純血のアボリジナルには投票権がなく、ハーフであれば投票権があるとの事。

どこの国にもいろんな形で「差別」というものが根強く残っているからこそ、深く考えさせられる作品でした。肉体的苦痛はもちろん、精神的苦痛というものはより深くのこるもの。

 

2:記憶の深渕


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こちらの作品もジュディ・ワトソンさんの作品になります。写真は2つだけですが、もう一枚の麻布がありました。撮影し忘れです;;

タイトル&作品説明を観る前に作品に使用されている色彩が純粋に好みだったので。

ワトソンさん自身、青=記憶の色。と述べられているそうです。

横顔の作品はワトソンさんの娘の横顔。もう一枚の写真の方は地形やその土地でクラス人々の都合を無視した第三者による人為的な境界線で描かれたクイーンズランド州警察庁の手紙に添付されていたカーペンタリア湾の地図で、ワトソンさんの祖先が住んでいた場所でもあります。

作品説明にも記されていたのですが、過去から現在、未来へと「記憶の継承」という言葉がしっくりと当てはまる作品だと感じました。

 

3:ガラス爆弾


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こちらはイワニ・スケースさんの作品になります。

最初にこちらの作品をみたときはガラスの球体の作品とは、かわいらしいな、、なんて思ってしまいましたが、タイトルと説明をみて、反省。全然違っていました。

スケースさんの祖先の土地である南オーストラリア州のウーメラ立ち入り制限区域で行われていた核実験の影響が今も続いている事を伝える作品。

軍事目的の為だけでに町が設立されていたという事実に驚き。そして、現在もイギリスの国土面積に匹敵する地域が立ち入り禁止となっている事実にも驚き。

ガラス爆弾の中に入っているものはアボリジナルの人々の伝統的な食料源である「プッシュナム」。放射能に侵され毒性化した事が表されているのが黒いもの。そして、その影響を受けた住民の姿を表現。

当時の人たちことを想像すると悲しみ・怒り、つらさだったりと様々な感情が沸き上がってきました。

 

 

総合評価:★★★★★

この展覧会を通して改めて感じたのは、アボリジナル・アート=伝統美術という枠をはるかに超えた「現代への強いメッセージ」
女性たちが自らのルーツや土地の記憶を作品に刻み込むことで、これまで語られてこなかった歴史や痛み、そして希望を感じられました。

どの作品も、単なる視覚的な美しさではなく、「知る」「感じる」「考える」きっかけを与えてくれるものばかり。
展示空間も静かで落ち着いており、一点一点にじっくり向き合える構成だったのも印象的でした。

アボリジナル女性作家たちの力強いまなざしと、それぞれが抱く「語られなかった歴史」を感じることができる本展。
アートが社会や人の記憶とどのようにつながっていくのかを考えるきっかけとしても、とても意義深い内容でした。

改めて、心から「見に行けてよかった」と思える展覧会です。
作品を通して、言葉では届かない何かを確かに受け取ることができました。